古物商特例とは
インボイス制度は古物商を営む事業者にも当然に適用され、消費税の仕入税額控除の適用を受けるためには、適格請求書の保存が必要です。しかし、仕入を行う取引先がインボイス制度に登録していないケースが数多くあるのが実情です。そうなると古物商を営む多くの事業者が消費税の仕入税額控除を受けることができなくなります。
そのような実情に対して実施されたのが古物商特例です。取引先がインボイス制度に登録していなかったとしても仕入税額控除を受けることが可能となります。ただ、古物商特例がすべての古物商に適用されるわけではない点には注意が必要です。
古物商特例の4つの要件
古物商特例は、古物商が仕入を行った際の適格請求書の保存を不要としています。ただ、古物商特例を適用するには4つの要件を満たす必要があります。
古物商特例の4つの要件
1.古物商であること
2.取引相手がインボイス制度に登録していないこと
3.仕入れたものが、棚卸資産であること
4.一定の事項を記載した帳簿を保存していること
古物商であること
都道府県公安委員会から古物商許可を受けた事業者であること。
取引相手がインボイス制度に登録していないこと
古物商特例は、仕入の取引先がインボイス制度に登録してないことで、適格請求書を発行できない場合に利用する特例です、そのため、仕入の取引先がインボイス制度の登録している場合にはこの特例を利用することはできません。
仕入の取引先がインボイス制度に登録している場合は、インボイス制度に従ったルールどおり、仕入税額控除を受けるには、仕入の際に適格請求書を発行してもらい、保存することが必要です。
仕入れたものが、棚卸資産であること
適格請求書が不要で仕入税額控除が適用となる取引は、棚卸資産の仕入取引のみに限定されます。その古物商が取り扱うことができる古物を仕入れた場合のみです。
取り扱うことを選択していない古物の購入や、営業所の備品購入などは古物商特例の対象にはなりません。
一定の事項を記載した帳簿を保存していること
古物商特例は、適格請求書を保存できない代わりに、以下の事項を記載した帳簿の保存が必要です。
1.取引先の氏名または名称、および住所、所在地
2.取引年月日
3.取引内容(軽減対象である場合その旨)
4.支払対価の額
5.古物商特例の対象となる旨
古物営業法上、古物台帳に記載不要の取引については、古物商特例でも同様に記載不要となります。
古物商特例が適用できない場合
前述から、仕入の取引相手がインボイス制度の登録をしてる場合や、棚卸資産以外のものを購入した場合は古物商特例が適用されませんが、その他にも適用できないケースとしては、古物営業法で本人確認を必要とする取引は、古物商特例でも同様に本人確認を必要としています。本人確認のない取引には古物商特例は適用されません。
まとめ
古物商特例は、古物商の実情を踏まえた特例であり、適用にはいくつかの要件があるため、活用する場合には、ルールの理解や注意するべき点を把握する必要があります。
古物商にとって有利な特例ですので、積極的な活用が望まれます。